IT契約書

基本から

契約書はありますか?

まず、契約書があるかどうかが重要です。

 

契約は契約書がないと成立しないでしょうか?
いいえ、法令で例外のある場合を除いて、契約書がなくても契約は成立します。
ですが、契約書がいらないかというとそんなことはありません。書類として合意の内容を残すのは、以下のような意味があります。

 

①契約の存在を証明する

契約の締結があいまいなまま、ユーザーから「取りあえず進めておいて」などとと言われて、その後プロジェクトが頓挫、もしくは、ユーザーの気が変わり、ユーザーからは契約が成立していなかったと主張されることも相当数に上ります。

 

契約書が無い状態で契約の成立を証明するのはなかなか困難です。契約書が無い状態で、契約の成立を主張したけれども認められなかった判例は多数存在します。
契約は口頭でも成立しますが、結局のところ契約書がないとその成立を証明するのは難しいのです。裁判所も書面を優先する傾向にあります。

 

②その他トラブルになったときに道筋を示す。

そもそも契約があるかだけでなく、契約書はトラブルになったときに重要となるものです。

 

例えば、貴社がユーザー企業だとします。
貴社が開発したプログラムを使用したシステムを、ソフトウェア開発会社が流用し、ライバル企業に売り出し始めた場合を考えてみましょう。

 

建造物のように形ある物であれば、購入すれば購入者の所有となります。たとえば、建売住宅を現金で買えば、その住宅は購入者の所有となります。
しかし、システムはそう単純ではありません。
発注してシステム開発会社に作らせた場合、プログラムの著作権はシステム開発会社が持ちます。お金を誰が出したかは関係ありません。著作権を移転させるには、契約できっちり著作権がユーザーに移転すると合意(具体的には契約書上に明記)する必要があるのです。

 

したがって、契約書上に著作権の移転について明記されておらず、その他禁止事項の合意がない場合、貴社がお金を出して発注したシステムを、システム開発会社が流用してライバル会社に売り出しても、文句を言えません。

 

更に「全ての著作権はユーザーに帰属する」という文言だけでもダメです。
著作権法27条の二次著作物を作る権利とその利用の28条の権利は明記しなければ移転しないのです。

 

更に、これでも、システムを改変する権利である同一性保持権などの著作者人格権と呼ばれる権利は移転しません。したがって、著作者人格権をシステム開発会社が行使しない旨を明記しておく必要があります。
この規定がない場合、追加の開発を別のシステム開発会社に頼んだ場合に、差し止めにあう可能性も捨てきれません。

 

システム開発会社の側に立っても、実は著作権の規定は重要です。モジュールなどを既に自社で開発して、様々な開発で使用している場合も多いでしょう。
その場合に、全ての著作権を移転すると明記してしまうと、そのモジュール自体が別の開発で使えなくなってしまいます。したがって、何が移転して、何が移転しないか明記する必要があります。

 

著作権について「契約書に当然入っているよ」という企業も多いでしょう。
ただ、上記のように一部を留保する必要がある場合、何が留保されていて、何が留保されていないのかをできるだけ明確にしておかないと後々トラブルになる可能性があります。

 

以上は、ほんの一例にすぎません。

 

 

契約書の確認・作成について

契約書の内容の確認で重要なことは何でしょうか?

 

 

すぐに確認させていただきます…、しかし

契約書のチェック・作成

契約書を明日までに確認してほしいという依頼があることがあります。

当事務所は法律事務所ですので、「契約書を最短の期間でチェックして」というのであれば、最善を尽くしてチェックさせていただきます。

 

しかし、貴社のビジネスをよく知らない弁護士の場合、そのチェックは、当該ビジネスから離れた一般的なアドバイスになってしまいます。それでは、コピペ(コピー&ペースト)とあまり変わらなくなってしまう可能性もあります。また、条項に書かれていないことまでチェックすることはできません。

 

契約書を最適なものとするには、具体的な合意事項を入れ込むだけでなく、当該ビジネスにそって、現在想定しているリスク、気付かないリスクを想定し、魂を入れる必要があるのです。

 

契約書の言葉は、双方にとって同じ意味を示していますか?変な業界用語や、社内用語になっていないでしょうか。また、社内用語が他社と違っている場合もあるかもしれません。結果としてこちら側と相手方で想定した事項に差異が発覚し、こんなはずではなかったという自体を発生させかねません。

 

契約書は、違法であってはいけないですし、条項が無効になっては意味がありません。したがって、消費者契約法や下請法、特定商取引法などにも気を配る必要があります。しかし、それは、最低条件です。

 

具体的なビジネスにあった契約書を作らないといけません。

 

結果的に、最初参考にした契約書と同じになってしまうこともあるでしょう。しかし、そこまでのプロセスが重要です。他の会社と契約書が似たようなものであっても、安心してビジネスに当たれるはずです。

 

 

有利に作ればOK?

自社に有利にできるのであれば、有利にすべきです。しかし、他社との関係でそれが維持できるでしょうか?

 

がちがちにこちら側に有利な契約書にしてしまうと、相手方が法的にきちんとしている会社であれば、大幅な修正を求められてしまいます。

 

また、そもそも立場的に相手の契約書を飲まざるを得ないという事もあるかもしれません。その時に、そのまま受け入れてしまったのでは、こちら側に基本の契約書を作った意味が半減していまいます。

 

有利に作ればOK?

それでは、どうすればよいのでしょうか。

 

有利に作るだけでなく、「どこまで譲歩できるのか」「どこは譲れないか」を考えておく必要があるのです。つまり、事前に、どこが死守ポイントなのか、死守ポイントが守れなければ契約を受けないという覚悟も必要です。

 

営業で、価格を下げる余地をもたせるが、これ以上下げることはできないというラインを決めるのと同じ事を、契約書的にも決める必要があるのです。

 

 

また、契約毎に相手方も違うし、実際の成果物や仕事も違うはずです。したがって、ひな形の契約書がある場合であっても、当該ビジネスにとって最適であるかを判断する必要があります。

 

それは、優秀な弁護士に契約書のチェックを頼めばOKという話ではありません。貴社のビジネスをよく知らない弁護士にその仕事がつとまりません。

 

したがって、貴社のビジネスの関連法規にも詳しく、更に、貴社のビジネスを良く理解している弁護士に契約書をチェック・作成してもらう必要があるのです。

 

また、関連法規に詳しく更に現場にも詳しい法務部員がいるのであれば、その者にチェックさせる方法はあると考えられます。そして、法的にまずいところがないかだけを弁護士にチェックさせるという方法もあるでしょう。

 

つまるところ、現場をよく知り、ビジネスの意味を理解し、考えられるリスクを想像できる弁護士に頼むか、同様の働きをする法務部員を育てていく必要があります。ただ、法務部員の法的知識がたりなければ、弁護士に法的リスクを伝えられず、契約書外の法的リスクを見逃してしまうこともあり得ます。また、法務部員を一人雇うには多額の費用もかかります。

 

そう考えると、顧問弁護士を雇い、我が社の事情を理解させて使う方が安くすみます。

 

交渉する。

交渉する

交渉も重要です。どこまで要求したいのか、どこを譲れるのか、きちんと自分の頭で考える必要があります。自分の頭といいましたが、貴社の判断という事です。

 

契約書の中身がわからないとか、契約書を作っていないとかは論外です。相手方から契約書が来たのであれば、その条項を咀嚼し、自分のビジネスを展開していく上で問題点がないかを洗い出す必要があります。条項が漏れがないかという点も重要です。

 

 

その上で、交渉に臨みましょう。 自分が弱い立場だから、交渉なんてできっこないと思っていませんか?

 

梅宮が、SE時代にソフトウェア開発会社と法的な交渉にあたったときも、ベンダー側は、会社にとってこんなに違うものかと思うほど、そのまま受け入れる会社、いろいろ言ってくる会社と様々でした。

 

仕事の発注を受けるという弱い立場でありながらも、ここまでは譲れないと交渉してくる会社はあるのです。こちら側が弱い立場であっても、相手方が交渉に乗ってくれる可能性も充分あります。

 

そして、どこまで譲歩できるのか、どこを獲得できればベストなのかを考えた上で、交渉に臨みましょう。

 

 

また、相互に求めているところは違う点であることがあります。それを探って、こちらが譲歩しやすく相手方が獲得したいところ、相手方が譲歩しやすくこちら側が獲得したいところを探っていきましょう。こちらが金額が第一と考えていても、相手方の優先順位は違う場合もあります。

 

大根の取り合いの例を出します。大根を取り合う場合、こちら側が大根の根がほしくとも、相手方がほしいのは大根の根ではなく、葉っぱのみかもしれません。お互いに求めているものが違うと分かれば、大根の根と葉っぱに分けることができます。相手も大根の根が欲しいはずだと思い込むと、根も葉も真っ二つに割って、お互いに損をする結果になりかねません。

 

当事務所にご依頼いただいた場合、詳しく当該ビジネスについてお聞かせいただきます。その上で、最適な契約書を提案させていただきます。

また、交渉のサポートや交渉自体をお任せいただくこともできます。ご相談ください。

 

価格と費用の例

契約書の作成費用とスケジュールは、難易度によってかわります。
下記は、あくまで一例です。
内容を詳しく伺って見積もらせて頂きます。

契約書作成費用(例):10〜30万円

 

ヒアリング3日、ドラフト作成4日、完成まで3日
ただし、こちらからの質問、レビュー依頼に迅速に対応いただける場合に限ります。