発注者都合の解除

発注者都合の解除について説明します。

 発注者企業の方針が変わって、一旦契約書を結んだにもかかわらず、開発が頓挫することがあります。これが、発注者(ユーザー)都合の解除です。

 

問題点

・発注者は契約を解除できるのか?

・解除できるとして、ベンダは発注者に損害賠償を請求できるのか?

・賠償請求の額はどのくらいか?

が問題となります。

 

1.解除はOK

 まず、請負契約は途中で解除できるのが原則です。なぜなら、発注者側に不要な目的物を作るのは、社会経済上も無駄だからです。民法上も請負契約は完成に至るまで解除できる(民法641条)ことになっています。また、委任はいつでも解除ができます(同651条1項)。請負、(準)委任いずれも解除できるという事です。

 

2.解除した発注者は、損害を賠償するか、履行部分の報酬を支払う必要がある。

 次に、受注者側は泣き寝入りかというとそうではありません。請負契約では、損害を賠償して契約を解除できる(同641条)となっています。委任でも、相手に不利な時期に解除した場合は、損害を賠償しなければならない(同651条2項本文)とされています。

 

3.その額は、契約上特に定めがなければ、

(1)履行済の部分は、その相当額
(2)(1)以外の部分で既に発生している費用
(3)解除されなければ得られた利益

の合計額となります。

つまり(1)(2)(3)が支払われれば、受注者の利益が確保されることになります。

 

(1)履行済の部分

 どこまで完成したかという割合(出来高)が問題となりますが、裁判になった場合それを証明するのは実は簡単ではありません。そのため、受注者側としては、解除の場合には出来高を日割りで計算し清算するとような条項を契約書に入れておきたいところです。

 

(2)(1)以外の部分で既に発生している費用

 これは、(1)の部分を除いて、発生している費用になります。下請企業の支払関係で立証できます。

 

(3)解除されなければ得られた利益(逸失利益)

 解除しなければ得られた利益も請求できる可能性があります。しかし、契約書で「現実に要した費用を賠償する」等と規定されているいる場合には、除外されます。

 

 繰り返しますが、契約が優先されますので、損害の対象の範囲と損害額の算定方法については出来る限り決めておいた方がよいでしょう。解除の場合の支払う額が双方にとって、見通しが付けやすければ、無駄な紛争を避けることができます。